
2022年8月に金融庁がNISA制度の恒久化、非課税期間の無期限、投資枠拡充などの要望を求める方針がニュースになりましたが、ついに「NISA運用一体化」に向けて政府の最終調整案の情報が出ています。その最終調整案について投資初心者に対してのメリットについて解説していきます。
私個人が調べた内容や個人の感想のため正確性に欠ける可能性があります。投資を始める際には当サイトの内容をうのみにせず、ご自身で調べ直すようにお願いします。
【NISA運用一体化】NISA制度拡大へ向けた最終調整案の内容を解説

- 現行の 一般NISA と つみたてNISA を一本化
- つみたて枠と成長投資枠を設けてそれぞれに年間の上限額を設定
- 年間の上限枠とは別に生涯投資上限枠を設ける
- 非課税期間は生涯投資上限枠内で無期限

NISA制度拡充の最終調整案の中で大きく4つ「NISA一体化」「年間上限額」「生涯投資上限枠」「投資期間」について情報が出てきています。
NISA制度拡大として出てきた最終調整案の主な内容をみると、概ね金融庁の要望どおりに進んでいるように見受けられます。
4つの内容について、投資初心者へのメリットを上げていきながら詳細に解説していきます。
金融庁要望の詳細についてはこちらになります▼
よりわかりやすい仕組みとするためNISA制度を一体化

現在のNISA制度では、株式にも投資できる「一般NISA」と、長期の資産形成に向く投資信託のみに投資できる「つみたてNISA」があります。
最終調整案では、よりわかりやすい仕組みとするため「一般NISA」と「つみたてNISA」の運用を一体化することが盛り込まれています。
NISA制度の一本化によるメリット

- 投資初心者が選択する必要がなくなる
「貯蓄から投資へ」のスローガンでNISA制度の抜本的拡充が謳われています。
投資を始めて見ようと考えた際に、お金や投資の知識が少ない投資初心者でも税金が優遇されるNISA制度を活用する必要があります。
現在のNISA制度では「一般NISA」と「つみたてNISA」を投資初心者が選択しなければなりませんでしたが、最終調整案ではよりわかりやすい仕組みとするために「一般NISA」と「つみたてNISA」を一本化することとしています。
簡単に言うと、NISA口座を開設する際に選択していた「一般NISA」と「つみたてNISA」の選択を無くして、NISA口座の中で「成長投資枠(一般NISA)」と「つみたて枠(つみたてNISA)」の枠内で非課税にする運用になります。
NISA制度を1本化することでNISA口座の開設ハードルを下げて、投資初心者でも投資に参加しやすくすることが目的だと思います。

NISA口座を開設しようとして始めに迫られる選択が「一般」か「つみたて」になります。投資初心者には何がどう違うかをしっかり理解しないと、投資を始めて見ても「思っていたのと違う」となってやめてしまう方もいますが、一本化されることでやめてしまう人が減っていくことでしょう。
NISA一本化で投資対象や金額はどうなる?

NISA制度の一本化により、株式にも投資できる「成長投資枠(一般NISA)」と、積み立て投資を対象とした「つみたて枠(つみたてNISA)」の2種類が設けられ、それぞれに年間の非課税対象となる上限金額が設けられています。
成長投資枠の年間投資上限額とメリット

- 一般NISAの年間120万円から2倍の年間240万円
株式にも投資できる「成長投資枠」の年間投資上限額は「一般NISA」の年間投資上限額120万円から2倍の年間240万円に上がります。
成長投資枠は株式にも投資できるため、高配当の個別株やETFを購入して配当・分配金を受け取ることで日本国内で掛かる税金(20.135%)が非課税となり、そのまま受け取ることが出来ます。
※米国など日本以外の個別株やETFでは該当する国の税金は引かれます。
もちろん企業の成長が期待できる個別株を購入して、株価が値上がりしたら売却することで利益が発生した場合でも利益に対しては非課税となり税金は掛かりませんが、損失が出た場合の損益通算や繰越控除は行えないです。
また、NISA制度の改正後でも年間の投資上限枠は売却してもすぐに回復することはなく、一定の期間が必要になるようです。
つみたて枠の年間投資上限額とメリット

- つみたてNISAの年間40万円から3倍の年間120万円
積み立て投資を対象とした「つみたて枠」の年間投資上限額は「つみたてNISA」の年間投資上限額40万円から3倍の年間120万円に上がります。
「つみたて枠」は定期(毎日/毎月)で投資信託を購入する枠となるので、年間120万円ということは「120万円=月10万円×12か月」となり、月の上限が10万円ということになります。
現在では年間40万円「40万円=月33,333円×12か月 あまり4円」のため、最大で利用したい場合に毎月中途半端な金額を積み立てることになってしまい年間の上限金額40万円は不評です。
「利用できる枠をすべて利用しないと損」「月々10万円も投資に回せる余裕がない」などの話もありますが、私としては自由に設定できる枠が広がった認識でいるので、月10万の中で無理なく自分に合った金額を設定すれば良いと思っています。
積み立てする金額は現状でも簡単に変更できます。特につみたて投資では金額で悩むよりも少額でも早くから始めることで複利効果や非課税など多くのメリットを受けられます。

上限金額が上がったからといって上限いっぱいまで利用しないと意味がないというわけではないです。自分に合った金額で少額からでも早く投資を始めることが重要です。
生涯投資上限枠とは何か?

現在の「一般NISA」であれば年間上限120万円の非課税期間5年「120万円×5年=600万円」、「つみたてNISA」は年間上限40万円の非課税期間20年「40万円×20年=800万円」が最大の非課税となる金額となっています。
あくまで最大となるため「一般NISA」でも「つみたてNISA」でも購入した株式や投資信託を売却すると最大非課税金額から売却した分が回復せずに引かれていきます。
これがNISA制度の恒久化に伴い「生涯投資上限枠」を非課税の上限金額として、購入した株式や投資信託を売却しても、新たに購入した株式や投資信託が「生涯投資上限枠」であれば非課税となる枠になります。
ただし、「売却した分の金額がすぐに回復するわけではなく、翌年を待たずして回復する」と金融庁の説明会でも回答があったので、一定の期間が必要になりそうです。
生涯投資上限枠が出来ることのメリット

- 株式や投資信託を売却しても1,800万まで非課税の対象
生涯投資上限枠が出来ることでの最大のメリットは、株式や投資信託を売却しても非課税対象となる上限が1,800万のまま減ることが無いということです。
現在のNISA制度では年間の上限枠は購入する金額の上限となっていたため、回復することがなく購入するたびに枠を消費していくものでしたが、生涯投資上限枠は個人が保有する株式や投資信託の取得した金額になります。
そのため、保有する株式や投資信託を売却すれば、個人が保有する総額が減るため非課税の対象枠が開くことになります。
生涯投資上限枠が出来ることで、購入した株式や投資信託が思ったほどのパフォーマンスがなく入れ替えたいなど、生涯投資上限枠や年間上限枠はあるものの、現在のNISA制度よりもある程度自由に運用が行えるようになります。

一般NISAやつみたてNISAを始めて、自分がやりたかった投資スタイルと違ったとしても生涯投資上限枠内で組み換えが自由になればリカバリーもしやすくなります。
投資の始め方を解説したページは「投資の始め方を完全解説!初心者は何から始める?無理しない投資を始めよう」になります。
NISA制度の恒久化

現在のNISA制度で非課税期間は「一般NISAで最大5年」「つみたてNISAで最大20年」となっていて期限が設けられています。
最終調整案では生涯投資上限枠の1,800万まで無期限で非課税として、NISA制度の恒久化が盛り込まれています。
NISA制度が恒久化されたことで、NISA制度を利用した投資を早くから始めることで複利効果のメリットが最大限に受けられるようになります。
NISA制度恒久化の最大メリット

- 生涯投資上限枠は取得時の価格で算出
NISA制度が恒久化されることでの最大のメリットは複利効果にあります。
金融庁が行った説明界の中で「売却時に復活する金額は売却時の金額ではなく、「簿価」の金額で復活する」と回答があり、これは購入時の金額で復活すると考えられ、生涯投資上限枠は購入時の金額で算出されると思われます。
生涯投資上限枠が1,800万では「老後2000万円問題で出た2000万円に足りない」などの話もありますが、金額が1,800万なのは1,800万円を元本に10数年~20年程度運用すれば、利益含めて2000万に達せるとの見方があるのではと思います。
もちろん投資するスピードは個人で違い20年以上かかるケースもありますが、恒久化されたことで20代・30代の早くから少額からでもNISA制度を利用して非課税で運用していくことで、複利効果で2,000万円以上の資産を形成する可能性が高くなります。

始めに出てきた情報では生涯投資上限枠は1,500万円となっていましたが、少ないのではと調整が入り1,800万円となったようです。
投資の始め方について、おすすめステップを解説したページはこちらになります▼
まとめ

- NISAは投資初心者でも始めやすい制度
- NISA制度1本化で一般NISA枠とつみたてNISA枠の併用
- NISA制度上限拡大でも自分に合った金額で投資
- NISA制度に生涯投資上限枠が設けられ非課税期間が無期限
今までのNISA制度では「一般NISA」「つみたてNISA」の選択があり、自分がやりたい投資と違っていた場合のリカバリーが出来ない仕組みでしたが、2023年に確定した内容が発表され、2024年には始まるであろう、NISA制度の改正ではリカバリーが出来る様になります。
改正内容での運用は2024年と思われますが、いまから始めても投資の内容として大きく変わるわけではく、少額でも早くから始めることで複利の恩恵を長く受けれます。
投資はリスクを伴う行為であり、リスクを十分に理解して自分の判断で決めましょう。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

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